ライラト=ル=カドル(みいつの夜)


「本当にわれは、みいつの夜に、この(クルアーン)を下した。
みいつの夜が何であるかを、あなたに理解させるものは何か。
みいつの夜は、千月よりも優る。
(その夜)天使たちと聖霊は、主の許しのもとに、凡ての神命を齎して下る。
暁の明けるまで、(それは)平安である。」
(聖クルアーン みいつ章第1〜5節)



ライラト=ル=カドル(みいつの夜)とは預言者ムハンマド(SAW)が、天使ジブリール(ガブリエル)を通じてアッラーの啓示を最初に受けた夜のこと。

ラマダーン月のどの夜がライラト=ル=カドル(みいつの夜)であるかは定かではないが、ハディース預言者の言行録)には、ラマダーン月の最後の10日間の奇数日の夜であると記されている。
イスラーム教国では、ラマダーン月27日の夜−正確には26日の日没から27日の夜明けまでをライラト=ル=カドルとして祝っている。

この時期、モスクでお祈りをしていると、特別な体験ができるらしい。
いつもの礼拝とは、確実に何かが違がう感動を味わうそうだ。それがライラト=ル=カドル(みいつの夜)の体験。
モスクでは昨日がライラト=ル=カドルだった、とか、今日がその夜だ、とかその話でもちきりになる。
年によってライラト=ル=カドルは変わり、毎年体験できるものではない。体験できたほうが珍しいそうだ。
だから時間のあるムスリムは、毎晩モスクにお篭り*(イアティカーフ)をする。
ライラト=ル=カドルを一回でも体験できれば、それは千の夜よりも価値があると言われている。
実際、この時期、義父をはじめ義兄たちは夜はほとんどモスクで過ごしていた。


結局のところライラト=ル=カドルがいつなのか、人間には誰一人としてわからない、と聞いたことがある。
それでもみんなライラト=ル=カドルをさがして、毎晩規定の礼拝や追加礼拝、そして神への祈りのために費やす。

さてさて、ラマダーンもいよいよ後半。
今年のライラト=ル=カドルはいつなのでしょうか。


*お籠もりの意志とともにモスク(礼拝堂)の中に籠もり、アッラーに対する祈りやクルアーンの朗唱などに費やすこと。
それによって通常の祈り以上の精神的な恩恵を得る。
女性の場合は自分の家の一角をイアティカーフ専用の場所に定める。